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街の景観と建物の美術性
家から海が見えなくなるからという理由で建築差し止めの仮処分が決定。

去年真鶴でそんな出来事があった。


街の景観を保持するためというならわかるが、

雑誌に掲載された写真を見る限り景観を著しく乱すような建物ではないし、

むしろかなり完成度の高いデザインと言えると思う。


当然法律や条例の基準も全て満たし、

町と協議も行なったうえで建築確認を受けている。

にもかかわらず家が建てられない。

これは正しい処分なのだろうか?


そこに前から住んでいる住民の「家から海を望む権利」を守るためというのは

わからなくもないが、

そうなると先に建てたモン勝ちということにならないだろうか?

建築主側が妥協して建物を短くすることで、

海への眺望がいくらか残るようにした和解案も受け入れられなかったという。


せっかく土地を購入したのに家が建てられないとなると、

その土地の購入者はいったいどうすればよいのだろう?

「家から海を望む権利」を主張するなら、

その権利を買い取ってもらうなりしないと

フェアではない気がするのだが・・・。

土地を購入した人にも家を建てる権利はあるのだから。


今回のケースは閑静な住宅街に高層マンションが建つとか、

そういった類の景観訴訟とは全く異なると言っていいと思う。


建て主は仮処分に対する異議申し立てをし、審議は継続中だが

結果がとても気になるところだ。


話は変わって、少し前に話題になった楳図かずおさんの

まことちゃんハウスというのがある。

赤と白のストライプの外観が派手で景観を損なうと訴訟を起こされたが、

結局は公序良俗に反するものではないとされ、

楳図さん側の全面勝訴となった。


派手だとか町の景観に合っていないとか、

こういった類の話はなかなか難しい面がある。

控えめな外観が望ましいという人もいれば、

彩り豊かな方が良いという人もいるわけで、

町の景観を単に色だけで規制しようとすれば、

創造性が損なわれてしまうだけで、

結局はマイナスの影響しか及ぼさないだろう。


海外などでは優れた設計者に裁量権を与えて、建物が街に相応しいかどうかを

判断させているところもあるという。

日本では1人の設計者にこのようなことを委ねるのは難しいかもしれないが、

有識者を集めた組織を作って判断させるような方法があっても良いと思う。


こういった話題が出た時は一般市民の方々に景観の在り方や

建築物の美術性などについて考えてもらういい機会だと思う。

いろんなところで話し合いが行なわれ、

各地域の美術性の向上に繋がればと思う。
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